近年、世界最大の半導体受託製造企業であるTSMC（台湾積体電路製造）が熊本に進出し、熊本県の産業構造と企業誘致の状況に大きな変化が生じています。
当社は熊本でビジネスを行うホームページ・システム開発会社であり、当事務所のベランダからTSMCが遠くに見える会社としても、改めてTSMCの進出が熊本にもたらす影響について理解する必要性を感じたため、進出に伴う雇用や産業構造の変化・企業誘致の動向にについて調べてみました。

TSMCの熊本進出の概要

TSMCは、2021年10月に熊本県菊池郡菊陽町への新工場建設を発表しました。この新工場では、2024年10～12月から12～28ナノ・メートルのロジック半導体の量産を開始する予定です。投資額は86億ドル（約1兆3000億円）で、政府から最大4760億円が補助されるそうです。

さらに、TSMCの第2工場の建設も決定しました。第2工場では、3ナノメートルプロセスの最先端半導体の生産が予定されており、2027年末に稼働開始の計画しています。これにより、TSMCの熊本での総投資額は2兆円を超える見通しで、二つの工場での従業員数は約3400人になるそうです。

TSMCの新規雇用が熊本の雇用に与える影響

2つの工場で合計約3,400人の雇用が創出されうち1,200人以上を新卒・中途採用で賄う計画であり、特に新卒採用に力を入れています。2023年春の125人から2024年春は250人超と倍増しており、地元の大学からの採用にも積極的です。

一方、熊本県の2024年2月の新規求人数は13,626人で、前年同月比7.3％増加しました。この数字と比較してもTSMCの新規雇用計画は、非常に大きな影響力であり、他社にとっては脅威をと言えるでしょう。

ただし、TSMCの工場稼働時期と新規求人の時期がずれているためすぐではありませんが、第1工場は2024年稼働予定、第2工場は2027年稼働予定である事実は変わらないため、これからも、熊本県での新入社員獲得はますます難しくなることでしょう。

実際に、2024年2月の新規求人の産業別では、半導体産業を含む製造業が前年同月比1.9%増の1,283人と、15カ月ぶりに増加に転じました。熊本労働局は「半導体需給の世界的な調整局面で関連産業が求人を控える傾向にあったが、局面が変化しつつあり、今後の需要増を見据えた人材確保の動きが活発化している」との見方を示しています。

このように、TSMCの新規雇用計画は、直接的にも間接的にも熊本県の雇用情勢に大きな影響を与えると考えられます。今後、半導体関連企業の集積が進むため、そのほかの企業での新入社員獲得は対策が必須で、さらに新入社員が入らない場合も見据えた社内DXの重要性はますことでしょう。

熊本の産業構造の変化

TSMCの進出により、熊本県の産業構造は大きく変化すると予想されます。現在、熊本県の産業構造は第三次産業の割合が高く、県内総生産の約7割を占めています。一方、第二次産業の割合は約26%となっています。

しかし、TSMCの進出に伴い、半導体関連産業を中心とした製造業の集積が進むことが期待されています。TSMCとの取引を目指す関連企業の工場建設や増設、進出の動きが活発化しており、熊本県内の半導体企業の取引構造が大きく変化すると予測されています。

この変化により、熊本県の産業構造は第二次産業の割合が増加し、より高度な技術を要する製造業中心の構造へとシフトしていくでしょう。

熊本県企業誘致の状況

TSMCの進出決定以降、熊本県では半導体関連企業の誘致が加速しています。熊本県は豊富な地下水、九州の中央に位置するアクセスの良さ、安価な土地価格などを強みに企業誘致を進めており、近年ではIT系企業の立地も増加傾向にあります。

実際に、ソニーセミコンダクタ、東京エレクトロン、ヤマハ、アクセンチュアなど多くの企業が熊本県に立地しています。また、半導体大手のTSMCの進出に伴い、関連企業の工場建設や増設、進出の動きが活発化しており、今後さらなる企業誘致が期待されています。

状況が変わる熊本の経済に対応するための多言語対応の重要性

TSMCの進出により、熊本は急速に国際化が進んでいます。台湾からの出張者や駐在員の増加、さらには観光客の増加も予想されます。

このような状況下で、地元企業がビジネスチャンスを逃さないためには、ウェブサイトの多言語対応が重要な課題となってきています。

「うちのサイトは自動翻訳で十分では？」とお考えの方も多いかもしれません。しかし、実はそれだけでは、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまう可能性があります。

多言語対応の重要性や効果的な対応方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください：

『ブラウザの自動翻訳だけで大丈夫？Webサイトの多言語対応の重要性』

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