AIの導入を躊躇している企業の皆さまに、新たな光が差し込みました。

長らく懸念されてきたAIと著作権の問題についてです。

 

米国の裁判所が「AIモデルの学習における著作物の利用はフェアユース（公正利用）にあたる」との画期的な判断を下したのです。

特に注目すべきは、Anthropic社のAIモデル「Claude」を巡る訴訟です。

この判決は、AIをビジネスに活用しようとしている企業にとって、まさに一つの安心材料となるでしょう。

 

歴史的判決：学習は「本質的に変形的」

2025年6月23日、カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所は、Bartz v. Anthropic PBCと題された訴訟において、大規模言語モデル（LLM）が著作物を学習目的に利用することは、著作権侵害にあたらないと判断しました。

裁判所は、LLMの学習プロセスを「本質的に変形的（quintessentially transformative – spectacularly so）」であると評価。

これは、単に著作物をコピーするだけでなく、それを新たな知識や能力の獲得に「変形」させていると捉えたことを意味します。

 

著作権法におけるフェアユースの判断は、通常以下の4つの要素に基づいて行われます。

1. 利用の目的と性格（変形性）：営利目的か非営利目的か、変形性があるか。
2. 著作物の性質：事実的か創作的か。
3. 利用された部分の量と実質性：どれだけの量が利用されたか。
4. 市場への影響：著作権者の潜在的な市場や価値にどのような影響を与えるか。

 

今回の判決では、AIの学習が新たな創造性を生み出すための基礎となる変形的な行為であり、著作権者の市場を直接侵害するものではないという点が強く評価されました。

具体的には、LLMは著作物の「文法、構成、スタイル」を抽出し、それらを組み合わせて新しいコンテンツを生成するのであり、元の著作物の単なる複製ではないと判断されたのです。

この判断は、AI開発における著作物利用の合法性に大きな道を開くものです。

AI導入をためらう企業様の一歩前進

今回の「Claude訴訟」における歴史的判断は、著作権侵害を懸念してAI導入に二の足を踏んでいた企業にとって、前向きに検討する一つの安心材料となるでしょう。

「AIで学習したもの自体が著作権違反で問題があるのでは？」という最大の懸念に対し、裁判所は「適切に調達されたデータによる学習行為自体は、法的に問題ない」という明確な回答を示しました。

 

もちろん、AIを使用して生成した「出力物」が意図的に固有名詞(ジブリなど)を用いて制作したり、出力された著作物が誰の目から見ても明らかな著作権を侵害する制作物なら別ですが、

著作権に配慮した制作物であれば、新しいコンテンツを表現とみなされ、著作権に違反しない制作物として扱われる可能性が高くになりました。
(可能性が０ではないのはAIを使わず人間が制作しても同様のリスクは存在するからです。)

 

当社でのAIを使用した制作について

当社ではAIの導入の相談やAIを使用した制作を積極的に行っています。

しかし、学習データに問題がないと上記の判決で判断されても、著作権を侵害しないように制作物に固有名詞を入れない制作をはもちろん、

生成物が既存の著作物と酷似していないか、意図しない形で第三者の権利を侵害していないかを注意しながら制作しています。

 

まだ、完全にはルールが確立していないAIの世界ですが、AIを安全かつ効果的にビジネスに組み込むためには、専門的な知識と細やかな配慮が不可欠です。

当社は、お客様が安心してAIで生成されるコンテンツの著作権侵害リスクを最小限に抑えるためのノウハウを有しており、著作権侵害に細心の注意を払っております。

ぜひAIを活用したいという方は、安心してご相談ください。