高校生はAIを「チャッピー」と親しみ、社員は「隠れて」AIを使う。この時代に経営者がAI利用を決断しないリスクとは?

2025.12.17 8 min read

2025年現在、日本社会では奇妙なねじれ現象が起きています。

街を見渡せば、高校生や大学生がスマホに向かって親しげに話しかけています。彼らが呼ぶ名前はChatGPT通称「チャッピー」。

2023年、『日経トレンディ』でChatGPTが1位を獲得したことを覚えているでしょうか。あれから2年が経ち、2025年の現在、ChatGPTはその親しみやすさから「チャッピー」という愛称で呼ばれ、国民的なツールとして定着しました。2025年の今、彼らにとってAIは電卓や辞書と同じく「なくてはならない当たり前の存在」になっています。

しかし、一歩中小企業のオフィスに入ると、時間は昭和で止まったままの企業が多くないでしょうか。

「AIなんてうちにはまだ早い」「難しくてよくわからない」

経営者がそう言って判断を先送りにしている間に、世の中の常識は光の速さで進んでいます。

今回は、この「社会のAI浸透」と「企業の導入遅れ」という致命的なギャップ、そして「導入を決めないこと」が引き起こしている社内の深刻なリスクについてお話しします。

経営者が「決めない」から、社員は「隠れて」使う

中小企業のAI導入率は依然として低迷していますが、それは「社員がAIを使っていない」ことを意味しません。むしろ逆です。

「会社が導入してくれないから、個人のスマホで勝手に使っている」

これが2025年のリアルな現場の実態です。

デジタルリテラシーの高い優秀な社員ほど、アナログな業務に絶望し、自分の業務を楽にするために個人のAIツールを使っています。

会社が公式に導入を決定しないことで、皮肉にも「シャドーAI(許可なきAI利用)」が蔓延し、企業統治が機能不全に陥っているのです。

経営者が「導入しない」という判断をしているつもりでも、現場ではすでに「無法地帯化」が進んでいます。問題の本質は、AIそのものではなく、「企業として安全な環境を用意する決断ができていないこと」に他なりません。

個人版と企業版の「決定的な違い」をご存知ですか?

「個人で使っているなら、それでいいじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、ここには経営を揺るがすセキュリティリスクがあります。

個人版(無料版)= 公共の広場

社員が個人のアカウント(無料版のチャッピーなど)で業務を行う場合、入力したデータは基本的に「AIの学習データ」として再利用されます

例えば、社員が「A社の見積書を作って」と入力した機密情報が、巡り巡って世界中の誰かがAIを使った時の回答として出力されてしまうリスクがあります。これは、「会社の機密情報を公共の広場で大声で話している」のと同じです。

企業版(有料版)= 社内の金庫

一方で、会社が契約する「Google WorkspaceのGemini」や「ChatGPT Enterprise」の場合、入力したデータはAIの学習には一切使われません。

データは暗号化され、自社の契約領域内だけで処理されます。これは「セキュリティシステムを導入した社屋」や「社内の金庫」で作業するのと同じです。

会社がコストを惜しんで導入を渋ることで、社員を情報漏洩のリスクがある「公共の広場」へと追いやってしまっているのです。

AI格差の正体は「AIは使えない」というマインドセット

AI導入においてもう一つ重要なのが、使う側の「マインドセット(心構え)」です。

「AIは使えない」と即断する人の心理

AIを導入しても、「一度使ってみたけど、思ったような答えが出なかった。やっぱりAIは使えない」とすぐに見限る人がいます。

この反応を示す人は、無意識のうちに「AIより自分の方が上だ」という立場を守ろうとしています。AIの性能不足を指摘することで、自分の優位性を保とうとするのです。

しかし、断言します。このスタンスこそが、今後のビジネス人生における最大のリスクです。

AIは日々進化しています。最初の出力がうまくいかなくても、「指示の出し方が悪かったかな?」「条件を変えて聞いてみよう」と試行錯誤(トライ・アンド・エラー)できる人だけが、AIを優秀なパートナーへと育て上げることができます。

「AIは使えない」と吐き捨てて思考停止する人は、AIが進化するほどに取り残され、最終的には社会から「AIを使えない人材」として烙印を押されてしまうでしょう。

他にも「AIの使い方が分からない」と触ることすらしない思考停止状態は大変危険です。
昔、パソコンを触れない上司を蔑んだ人が、次はその立場になるリスクを孕んでいます。

2025年国家戦略で、「AIを使わないことが最大のリスク」と方向転換

数年前であれば、国家もセキュリティ懸念やハルシネーションなど、AI導入リスクについて警告をしていました。しかし、2025年、180度方向転換をし、AIを使わないことが最大のリスクと国家戦略の「人工知能基本計画」で発表しています。

まずは、使い始めることが重要なのです。

AIを使うスキルは最初は入りません。まずはスマホで「ChatGPT」や「Gemini」をダウンロードして話しかけてみましょう。

AI活用の成功法則:音声入力とGoogleエコシステム

今すぐ中小企業は何をすべきか。具体的なアクションは2つです。

1. キーボードを捨て、「音声入力」を使う

これからのAI操作は、キーボード入力ではなく、できる限り「音声入力」を使いましょう。

人は話す方が書くよりも圧倒的に速く思考を出力できます。「部下に指示を出す感覚」でAIに話しかけることが、思考のスピードを落とさずにAIと協働するコツです。最新のAIは、言葉のニュアンスや感情まで理解し始めています。

スマホアプリをダウンロードして車の中などで話しかけてみて下さい。ほとんどのスマホには、高性能な音声入力機能が搭載されています。

2. Google Workspace(Gemini)の導入

個人的な利用で、AIの活用方法が分かってきたら、すぐにビジネスへの導入を検討しましょう。

ビジネスでの活用でツール選びで迷ったら、Google Gemini(Google Workspace)を推奨します。
BtoC向けであればほとんどの人はChatGPTを使用していますが、ChatGPTには、チャット以外のビジネス用途の機能が十分ではありません。一方Google Workspaceには、GmailやGoogle カレンダーなど既にビジネスに使えるツールがあり、それがAI のGeminiが繋がっています。さらに様々なAIツールが発表されています。

  • NotebookLM(ノートブックLLM): 膨大な社内資料を読み込ませるだけで、即席の「社内専用AIアドバイザー」が完成します。
  • Nano Banana(ナノバナナ): Googleの画像生成モデルです。言葉だけで資料用の画像や販促物を瞬時に作成でき、著作権フリーのオリジナル素材が手に入ります。

AIに指示を出すプロンプトと呼ばれるテクニックなどは後からついてきます。
初期段階では、人に接するように丁寧な命令を出すだけで十分です。

今、AIを使っていないベテランの方こそ、「経験」が最強のAIツールになる

ここまで読んで、「これからはデジタルのことばかりで、若い人には敵わない」と不安になった方もいるかもしれません。 しかし、現実は違います。実は、今AIを使っていないベテラン社員こそが、AI時代に最も輝ける可能性を秘めています。

若手が陥る「薄っぺらさ」の罠

確かに、若い世代やデジタルネイティブは、AIツールの操作には長けています。しかし、彼らにはまだ圧倒的に足りないものがあります。 それは、「業界の常識」「お客様の機微」「現場のノウハウ」といった「経験」です。

経験がない状態でAIを使っても、AIは教科書通りの「薄っぺらい答え」しか返してきません。 「お客様への謝罪メールを書いて」と若手がAIに頼んでも、表面的な文章しか出てこないでしょう。なぜなら、AIに渡すべき「文脈(コンテキスト)」を知らないからです。

ベテランの「知恵」× AI = 飛躍的な価値

しかし、これまで長く、その業界で働き、酸いも甘いも噛み分けてきたベテランには、たくさんの「知恵」があります。

「このお客様はこういう言い回しを好む」 「このトラブルの時は、まず現場を確認するのが先決だ」 「過去にこういう失敗があったから、ここを注意すべきだ」

この泥臭いノウハウこそが、AIにとって最高の「燃料」になります。 ベテランが持つその深い知識を前提条件としてAIに伝えれば、AIは若手には絶対に出せない、「熟練の思考を反映した超高精度なアウトプット」を瞬時に出してくれます。あなたのノウハウに博士号を取得できるレベルの頭脳を持つAIが、アシスタントとして一緒に働いてくれるのです。だからこそ、経験豊富な人が使ってこそ、最大の価値を発揮するのです。

まずは、話しかけることから始めよう

今AIを使っていない人は、一番のチャンスの中にいます。 難しいプロンプトを覚える必要はありません。あなたの隣に、とてつもなく優秀だけど、まだ世間知らずな新人が座っていると思ってください。

経済産業省も、生成AI時代のスキルとして以下の3つを提唱しています。   

  1. 問いを立てる力
  2. 仮説を立て、検証する力
  3. 評価し、選択する力

これは、まさしくベテランが行なっている仕事なのです。

まずは、スマホの音声入力をオンにして、あなたが長年培ってきた経験を、話しかけるようにAIに教えてあげてください。 「この業界ではね…」「このお客様はこういう傾向があって…」 そうすれば、AIがあなたの手足となり、驚くべきスピードで仕事を助けてくれることがすぐにわかるはずです。

「AIに使われる」のではなく、「あなたの経験でAIを使い倒す」。 その未来への切符は、すでにあなたの手の中にあります。

結論:決断しない会社に「未来」はない

最後に、採用市場の現実をお伝えします。

デジタルネイティブであるZ世代や、チャッピーと共に育った今の高校生たちが社会に出たとき、「AIが使えないアナログな会社」を選ぶでしょうか?

彼らにとって、AI禁止の職場は「手書きで計算しろ」と言われるのと同じくらい非効率で、ストレスフルな環境です。AIを使えないことによる社員の不満、深刻化する採用難、そして何より、AIを使って業務を自動化している競合他社との圧倒的な生産性の差。これらは経営者が決断を先送りすればするほど、取り返しがつかないほど広がっていきます。

「AIを使わないことが、最大のリスクである」

まずは経営者自身が導入を決断し、安全な環境(Google Workspaceなど)を社員に与えてください。そこからしか、企業の未来は拓けません。Google WorkspaceやAIの活用方法など、当社でもサポートいたします。是非ご相談ください。

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