中小企業の皆様、社内の会議室予約やプロジェクター、社用車の管理で、「ダブルブッキングしてしまった」「誰が使っているか分からない」「空いているはずなのに予約できない」といったトラブルに頭を悩ませていませんか?
IT専任担当者がいなくても大丈夫です。すでにお使いの Google Workspace(旧 G Suite)の機能を少し工夫して使うだけで、これらの物理的な資産(モノ)をデジタル上でスムーズに管理できるようになります。
今回は、専門用語を使わずに、会議室や備品の管理をデジタル化する方法と、特に重要な「予約権限(誰が使えるか)」の設定について、分かりやすく解説します。
1. まずは「モノ」を Google カレンダーに登録しましょう
Google カレンダーは人の予定を入れるだけでなく、「会議室」や「備品(社用車、カメラなど)」自体をひとつのユーザーのように登録することができます。これを専門用語で「ビルディングとリソース」と呼びますが、要は「予約できるモノのリスト」を作ることです。
これを行うメリットは3つあります。
- 重複防止: 同じ時間に同じ部屋を予約しようとすると、自動的にブロックされます。
- 検索が楽に: 「8人で使える部屋」「プロジェクターがある部屋」といった条件で空き部屋を探せます。
- 利用状況の見える化: どの会議室が人気で、どれが使われていないかがデータで分かります。
設定の第一歩
Google 管理コンソール(管理者だけが入れる画面)で、「ディレクトリ」>「ビルディングとリソース」というメニューから登録します。最初はシンプルに「大会議室」「社用車A」といった名前を登録するだけで十分です。
2. 予約の「ルール」を決める(権限設定の基本)
モノを登録したら、次は「誰がどうやって予約できるか」というルール決めです。これがうまくいっていないと、勝手に予約されたり、逆に予約できなくて困ったりします。
Google カレンダーでは、以下の3つのパターンで運用するのが一般的です。自社の運用に合わせて選んでみてください。
パターンA:オープンな「早い者勝ち」方式
向いているモノ: 一般的な会議室、ハドルルーム(少人数ブース)、共有のモニターなど
これが最も標準的な設定です。社員なら誰でもカレンダーから空き状況を確認し、空いていればすぐに予約できます。
- 仕組み: ユーザーが会議の予定に「会議室」を追加すると、自動的に予約が確定します。もし先約があれば、その場で「辞退」の通知が来て予約できません。
- 設定のポイント: 特段の制限をかけず、リソースの設定で「競合しない招待を自動的に承諾する」を選びます。
パターンB:内容は秘密、「空き状況だけ」公開方式
向いているモノ: 応接室、面談室、または「誰が使っているか」を知られたくない場合
「空いている時間は知りたいけれど、どんな会議をしているか(会議名や参加者)は見せたくない」というケースです。
- 仕組み: 他の社員がその部屋のカレンダーを見ると、予約が入っている時間は単に「予定あり」とだけ表示されます。会議名(例:「A社買収会議」など)は隠されます。
- 設定のポイント: カレンダーの共有設定で、社員全体に対して「予定の時間枠のみを表示(詳細は非表示)」という権限を選びます。
パターンC:勝手な予約は禁止!「承認制」または「特定の人だけ」方式
向いているモノ: 役員会議室、講堂、イベントホール、社長専用車
ここが今回一番掘り下げたいポイントです。「大事な部屋なので、総務がチェックしてから予約を確定させたい」あるいは「役員以外は予約できないようにしたい」という場合の設定です。
方法1:予約リクエストを管理者が審査する(承認制)
予約を入れると一旦「仮予約」になり、管理者が内容を見て「承諾」ボタンを押して初めて予約が確定する方法です。
設定手順:
- 対象のリソース(会議室など)の設定画面を開きます。
- 「招待の自動承諾」の設定で、「すべての招待をこのカレンダーに自動的に追加する」を選びます(ここが重要です)。
- そのリソースの管理担当者(総務など)に、このカレンダーの「変更および共有の管理権限」を与えます。
- 管理者は通知設定をオンにしておき、予約が入ったらメールで通知を受け取り、手動で承諾/辞退を行います。
方法2:特定のメンバー以外は予約不可にする(制限付き)
例えば「役員会議室」は、役員と秘書だけが予約でき、一般社員は予約できない(カレンダーに追加しようとしてもエラーになる)ようにする方法です。
設定手順:
- カレンダーの共有設定を開きます。
- 社内全体(ドメイン)の権限を「閲覧権限(すべての予定の枠を表示)」だけにします。これだと見ることはできますが、書き込み(予約)はできません。
- 次に、「特定のユーザーと共有」の欄で、役員や秘書のメールアドレスを追加し、彼らにだけ「予定の変更権限」を与えます。
- こうすると、一般社員は空き状況を見ることはできますが、予約を入れようとすると弾かれます。
3. よくあるトラブルと解決策
設定を進める中で、よくある質問とその解決策をまとめました。
Q. 「予定あり」としか表示されず、空いているのに予約できません。
A. 「詳細非表示」の設定で予約を許可するスイッチがオフになっている可能性があります。
詳細を隠す設定(パターンB)にしている場合、管理コンソール側で「詳細が見えなくても予約は許可する」という設定をオンにする必要があります。ここがオフだと、システムは「中身が見えない=触らせない」と判断して予約をブロックしてしまいます。
Q. 繰り返しの予定(毎週月曜など)を入れたら、勝手に断られました。
A. 全部ではなく、一部の日程が埋まっているためです。
例えば「毎週月曜の会議を10回分」予約しようとしたとき、そのうちの3回分くらいすでに先約が入っていると、Google カレンダーは「競合が多すぎる」と判断して、10回分すべてをキャンセルすることがあります(5回以上重複するとアウト、などのルールがあります)。
この場合は、空いている期間だけを分けて予約するか、先約がある日を手動で外して予約してください。
まとめ:設定は「現場の運用」に合わせて
ITツールを導入するとき、つい「一番厳しいセキュリティ設定」にしたくなりますが、社内の備品管理においては「利便性」も重要です。
基本は「オープン(早い者勝ち)」にしておき、本当に管理が必要な「役員室」や「高価な機材」だけを「承認制」や「権限制限」にするのが、管理の手間を減らし、社員にとっても使いやすい環境を作るコツです。
まずは一番よく使われている会議室ひとつから、デジタル化(リソース登録)を始めてみてはいかがでしょうか。